朝青龍引退@テレ朝:携帯アカシックレコード040401

横綱・朝青龍がテレビ朝日の4月新番組『報道ステーション』に生出演し「直接ファンの皆様に御礼」を言う。大相撲からの引退、総合格闘技「K1」への転向を表明するものと見られる。
出演時間等の問い合わせは、Tel: 03-6406-2222 < mailto:webmaster@tv-asahi.co.jp > (テレビ朝日)
または、Tel: 03-5608-3223 < mailto:takasago@kub.biglobe.ne.jp > (高砂部屋)まで。

*■国籍問題が一因~朝青龍引退@テレビ朝日■
【前回の「正確すぎる票読み~04年台湾総統選混乱の真相」はこちら → < http://www.akashic-record.com/y2004/twus.html > 】

横綱・朝青龍が、テレビ朝日の新番組『報道ステーション』に生出演し、「いままで応援してくれたファンの皆様に直接お礼と自分の考え」を言う。朝青龍本人が、自分の所属する高砂部屋や日本相撲協会を通さず、テレビ朝日に直接申し入れ、出演が決まった。

04年3月の大相撲春場所で優勝し、2場所連続全勝優勝の偉業を達成したいま、朝青龍は「もはや大相撲でやりたいことはやり尽くしたから、新たな世界で自分を試したい」と、大相撲を引退し、総合格闘技「K1」への転向を表明するものと見られる。

一見すると、球界で言えば、パ・リーグで7年連続首位打者になったあと米大リーグ入りしたイチロー選手のような「華麗な転身」「新天地への挑戦」かと思えるが、朝青龍の場合は、あとで述べるような複雑な事情がある。今回のテレビ生出演を自ら求めた理由も、そうした事情をファンに直接話して「理解してもらいたいから」にほかなるまい。

久米宏キャスターの『ニュースステーション』の後継番組として、古館伊知郎キャスターを迎えて04年4月から始まる『報道ステーション』は、この生出演を視聴率の取れる目玉企画として決定し、朝青龍の希望する条件も全面的に受け入れることにした模様だ。
元々古館の専門分野はスポーツ。政治経済のニュースもたくさん取り上げなければならない夜のニュースショーは今回が初めてで、本人も周囲も一抹の不安を抱えていた。それだけに、スポーツ関連の目玉企画から番組を始められれば無難なスタートを切ることができるので、古館にとっても「渡りに船」だったようだ。

朝青龍は、古館が元々テレビ朝日のプロレス中継のアナウンサーであったことを知って「格闘技に理解のある古館さんなら、自分の気持ちをわかってくれると思う」と、インタビュアーに古館を熱望したという。

その一方で、朝青龍は「日本語の言葉遣いを間違えて誤解や失礼があってはいけない」と、モンゴル人通訳の同席も希望した。
当初、朝青龍は、駐日モンゴル大使館に通訳の手配を相談していた。が、朝青龍の意向を察した大使館側から「横綱の引退は、せっかく盛り上がった日本とモンゴルの友好関係に水を差す」と反対されて断念。結局、通訳の手配はテレビ朝日に依頼した。

テレビ朝日では、かつて『ニュースステーション』でリポーターを務めたこともある女性起業家・佐々木かをり社長の経営する通訳翻訳会社ユニカル・インターナショナルに通訳の手配を依頼。しかし、ユニカルでもモンゴル語の適当な通訳はみつからず、佐々木社長から彼女の従姉弟である筆者に相談があったため、筆者はこの問題にかかわることなった。

関係者から「直前の、正式決定まで秘密厳守」と言われていたため、筆者は極秘で動き、アジア外交に詳しい、中嶋嶺雄・元東京外語大学学長に相談した。

+---++---++---++---++---++---++---++---++---++---++---++---++---++---+
チベット人ペマ・ギャルポ氏が顧問を勤める政治研究所

 http://www.g-i-i.net/gii.magagzine-stand.htm
+---++---++---++---++---++---++---++---++---++---++---++---++---++---+

朝青龍がモンゴル国籍のまま、外国(日本)で活躍し続けることは、モンゴル国民のナショナルアイデンティティを高めるだけでなく、「国防上」の効果もある。
世界の世論は中国周辺のチベット、モンゴル、ウイグル(新疆)、満州、台湾、沖縄、朝鮮半島、ウラジオストック、ネパールなどが本来中国の一部なのかどうか、歴史的な事情についてはよく知らない。その「無知」につけこんで中国は、20世紀にはチベットや新疆を相次いで武力で併合し、領有を既成事実化して来たし、台湾や沖縄、ネパールなどについても、まだ領有を諦めたわけではない。
すでにモンゴル民族の居住地域の一部は「内蒙古自治区」という形で中国の領土になっているため、モンゴル政府は中国の侵略を警戒している(かつて蒋介石の中華民国政府は、現在のモンゴル国の領土を「外蒙古」と呼び、中国の一部とみなしていた)。とくに、かつてモンゴルの(中国に対抗するための)後ろ盾になってくれていたソ連(ロシア)が91年に崩壊して弱体化したあとは、軍事的には、モンゴルはいつ中国に侵略されてもおかしくない状態にある。

だから、モンゴル国籍のまま世界で活躍する人材は、世界にモンゴルが独立国であることを示し、モンゴルが中国に侵略されるのを防ぐために、国際世論対策上大きな意味がある。

朝青龍は(国防上の理由で)「日本に帰化しないでくれ」という祖国からの期待と、「日本国籍がなければ親方にはなれない」という、日本相撲協会の「国籍条項」の狭間で板ばさみになり、結局「モンゴル国籍を持ったままでも活躍できる、ほかの格闘技への転向」を選ぶほかなかったのだろう。

もちろん朝青龍はまだ若い。23歳である。引退して親方になるかどうか考えるのは、まだ先のことだ。
しかし、ふたことめには「国籍条項」をタテに「日本人の心を学べ」「品格が問題」などと迫る、日本相撲協会幹部や横綱審議委員の言動には、ぬぐいがたい外国人への差別感情が潜んでおり、朝青龍はそれを感じ取っていたに違いない。

「祖国モンゴルの英雄」としては、これ以上自分の気持ちにウソはつけなかったのだろう。筆者は「こういう朝青龍の気持ちを理解できる通訳が必要」と中嶋元学長に嘆願し、元学長の弟子筋にあたるモンゴル出身のドルゴルスレン・セレジブデ東京外語大講師を通訳として紹介され、ユニカルとテレビ朝日の関係者に引き合わせた。

+---++---++---++---++---++---++---++---++---++---++---++---++---++---+

      日本でいちばんむずかしい?コンピュータ(SE)の資格試験
                 ↓
       http://www.akashic-record.com/oddmen/cntnt.html

+---++---++---++---++---++---++---++---++---++---++---++---++---++---+
【桶狭間の奇襲戦】 < http://www.akashic-record.com/oddmen/okehaz.html >

以下は、通訳依頼交渉の過程で、筆者とユニカル、テレビ朝日の関係者が聞いた各界識者の声である。すでに一部はマスコミ各社のWebサイトなどで公開されているが、ここに整理して列挙するので、朝青龍の名誉と、日本・モンゴルの友好関係のため、ご一読願いたい。

●大関・千代大海:
「突然のことで驚いている。春場所あんなに強かったので、ずっと相撲界でやって行くと思っていたから、信じられない。横綱(朝青龍を越えること)は大きな目標だっだだけに、引退がほんとなら、残念です」

●北の湖・日本相撲協会理事長:
「まず師匠(高砂親方)に話すのがスジではないか。それをせずにいきなりテレビ局と交渉するなど、非常識だ。親方(元大関朝汐)も親方だ。指導に問題があると言わざるをえない」

●プロレスラー・ブルーウルフ(朝青龍の実兄):
「引退後は、オレといっしょにリングに上がると思う。弟は、大相撲にも(日本とモンゴルの)友好にも十分貢献した。もう自由にしてやってほしい」

●K1格闘家・曙太郎(元横綱曙):
「正月に電話で話した。(03年の)大晦日のボブ・サップと(曙)の試合を見て感動したと言っていた。いま、あの若さで横綱が引退するのがいいことかどうかはコメントしたくない。でも、これだけはわかってほしい。朝青龍は相撲を愛している」

●KONISHIKI(元大関小錦):
「自分は日本人と結婚して日本国籍も取った。でも、割(本場所の取り組み日程)を見ると、相撲協会が(自分のような外国出身力士には苦手力士との取り組みを連日続けるなどして)ガイジンより(日本生まれの)日本人を勝たせたがっているのが、はっきりわかるときがある。そういうときは、とても辛い。いま相撲協会は、朝青龍よりも、千代大海や魁皇、栃東を勝たせようとしている。朝青龍は相撲が嫌いにならないうちにやめたかったのではないか」

●ナンバリン・エンフバヤル(モンゴル首相):
「引退は残念だ。ただ、日本国民の皆さんには彼も含めて多くのモンゴル人が日本を愛していることを忘れないでほしい。横綱だって、日本が好きだったから日本に留学し、相撲界にはいったのだから」

●中嶋嶺雄・元東京外語大学学長(中国政治研究者):
「亡命者ならいざ知らず、ある国の国民的英雄に向かって(指導者になりたければ)『国籍を変えろ』などと『国辱的な』要求をするスポーツは世界中のどこにもない。大相撲も米大リーグなどを見習って、伝統を守りつつも世界に進出し世界と交流する方法を考えないといけない。モンゴル国に住むモンゴル人は200万人だが、中国の支配する内蒙古(自治区)に住むモンゴル人は350万人。彼の祖国で200万人がどんな気持ちで彼をみつめているか、相撲協会も考えてほしかった」

●漫画家・やくみつる:
「日本のサラリーマンは早くても夕方5時までは働いている。だから、彼らに見てもらうためにプロ野球の試合は6時以降に始まる。『K1』だって夜のゴールデンアワー。ところが大相撲は6時にはすべて終わってしまう。まるで『サラリーマンは見るな』と言っているようなもので、興行、プロスポーツとしては異常。だから、力士の(年間)所得は他のどのプロスポーツよりも低くて、幕内上位でもせいぜい数千万円。一方、曙は(03年大晦日の)『K1』1試合だけで2億円も稼ぐ。これではいくら引き止めてムリ。相撲協会は、経営、興行、テレビ中継のあり方を根本的に考え直す時期に来ている。そうでないと、日本はもちろん、世界の若者も相撲に憧れなくなる」

●ソフトバンク・孫正義社長:
「相撲はビジュアルでわかりやすく、短時間で勝負がつくの、携帯電話の動画コンテンツに最適だ。弊社も第三世代携帯電話事業の免許を取得したら、相撲などのスポーツ・コンテンツビジネスを展開したいと考えていた。それだけに大スターの引退は残念。大相撲もネット上のコンテンツビジネスに参入すればもっとファンが増えるし、力士の収入も増えると思う」

●脚本家・内館牧子(横綱審議委員):
「横審(横綱審議委員会)は彼の品格について厳しく言って来たが、それはけっして外国人差別ではない。先代高砂親方の葬儀や(04年1月の)初稽古、さらに(自分が土俵入りで締める綱を兄弟弟子に作ってもらう)『綱打ち』の儀式まで無断欠席するなど、相撲界のしきたり以前に一般社会のルールにも反する行動を、彼は何度もとった。(親方になるための)国籍問題については検討の余地があるが、それとこれとは関係ない」

●渡辺恒雄・読売新聞グループ本社社長(横綱審議委員):
「やめたいやつは、さっさとやめろ! せーせーしたよ、いなくなって」

【上記のうち、千代大海のコメントは日刊スポーツ新聞社 < http://www.nikkansports.com/ > の、エンフバヤル首相のコメントは朝日新聞社 < http://www.asahi.com > の、それぞれ許可を得て、各社サイトより引用しました。】

【この記事の内容は、04年4月1日以外の日に読むと「無効」です。】

追伸1:
本誌へのご意見、投書は、投稿者氏名等の個人情報を伏せたうえで、本誌上で紹介させて頂くことがございます。あらかじめご了承下さいませ。
本メールマガジンは筆者(佐々木敏)のサポートスタッフにより運営されており、本号は創刊第149号の関連記事(blogのみ)です。
ご登録やバックナンバー、内容紹介は、こちら↓をご利用ください。
          http://www.akashic-record.com/
本メールマガジンの送信を停止するには、こちら↓をご利用ください。
          http://www.akashic-record.com/admin/regist.html
送信先アドレスを変更する場合もこちら↑でできます。お手数ですが、旧アドレスの「退会」、新アドレスの「登録」という2つの操作をお願い致します。
追伸2:
本メールにご意見等を投書されたい方は本メールマガジンに返信する形で投書を下されば、スタッフ(編集部)によるセキュリティ等のチェックを経て、数日後に筆者に転送されます。
但し、melma.comのシステム上、誠に申し訳ございませんが、本メールマガジンに返信されても「退会」手続きは成立しません。

Copyright (C) 2001-2004 by Satoshi Sasaki
All rights reserved. 不許複製、禁無断転載

| | Comments (1) | TrackBack (0)

拉致家族奪回@台湾

■拉致家族奪回@台湾(再送)~週刊アカシックレコード040313■
多額の米国債を買って米国経済を支える中国に怯えて、04年3月20日の台湾総統選では、米国は台湾独立派の陳水扁現総統を支援できず、彼が負ければ台湾は二度と政権交代のない非民主的体制に戻る恐れがある。が、陳水扁は、北朝鮮に拉致されたままの日本人被害者家族を「身代金」と引き替えに解放させたいと言えば、日本から外交的支持を得ることも可能。
http://blog.melma.com/00042082/20040313

【3月19日まで「携帯版」登録受け付け中】
携帯電話版のテスト配信を始めました。
今年04年はイラクなどの悲惨な状況に配慮し、4月1日の「特集号」の配信は自粛します。代わりに、この小誌の姉妹誌「携帯アカシックレコード」で配信する予定です。ご登録はこちら→ < http://www.akashic-record.com/kadmin/regist.html >
但しこの携帯版の登録は19日まででいったん受け付けを停止し、26日頃また新システムで受け付けを再開します。これは配信代行業者のmelmaのシステム移行 < http://www.melma.com/info/index.html#040312 > によるもので、19日までに旧システムで登録したアドレスはそのまま新システムに移行して、3月下旬以降の配信が行われます。
尚、携帯版でない、従来のパソコン向けメルマガにはシステムの変更はありません。

【女子選手 vs. 視聴率】
女子マラソンの五輪代表選考は、選考レースが何度もあるので複雑で、いつもモメます。で、識者はみな「1回のレースで3位までを代表と決めればいい」と言いますが、そうは行きません。たとえば「(11月の)東京女子国際マラソン1本勝負」にした場合、テレビ朝日系列は大喜びですが、他の系列は、自分たちが中継する3月の「名古屋」などほかのレースがなんの注目も浴びず視聴率がガタ落ちで困るうえ、陸連の広告収入にも影響するはず。
「選考の悲劇」で選手が泣かされるのは、実は視聴率のせいなんです。

【おわび】
ただいま次の小説 < http://www.akashic-record.com/oddmen/cntnt.html > の仕上げ作業中で、さる04年3月8日には非常に忙しくなり「きょう配信予定のメルマガは清書するヒマがないのでキャンセル(延期)の手続きをしないと」と思っておりましたら、担当編集者から突然「ご執筆中の小説のトリックは成立しない恐れがありますので、専門家が確認中です」などというとんでもない電話がかかって来ました。
「いままで1年間やって来たことがムダになる!」とパニックに陥った筆者はショックでからだを壊し、キャンセルのことは忘れてしまいました。結局、編集者の思い違いで、なんの問題もなかったのですが、落ち着きを取り戻した頃にはキャンセルされるべきメルマガの配信は終わっていました。
読者の皆様には「清書前」の記事を配信し、誠に申し訳ございませんでした。本日あらためて正式版を配信致しますので、今後とも小誌を宜しくお願い申し上げます。
m(_ _)m
■拉致家族奪回@台湾~台湾独立の裏技■
【今回は「女子十二楽坊 vs. 台湾独立」 < http://www.akashic-record.com/y2004/be.html > の関連記事です。】
【前回の「オスカーの地政学~シリーズ『3月14~29日の死闘』(3)」は → < http://www.akashic-record.com/y2004/oscar.html > 】

前回述べたように、台湾は日米にとって地政学的に重要な「独立国」だ。もし台湾が中国に併呑(中台統一)されるなら、中国(中華人民共和国)が東南アジアへの膨張・侵略の橋頭堡を確保し、台湾沖を通る日本の重要なシーレーンを危険にさらすことになる。台湾住民(国民)はきわめて親日的で、戦前の日本の植民地支配が(残虐な侵略などでなく)建設的な開拓であったことの「生き証人」でもあるので、台湾が共産独裁国家・中国に侵略併合されて言論の自由を奪われると、以後、日本人は永遠に「戦前の日本はいいことは何もしなかった」というウソの歴史観を全世界から強要され、劣等感にさいなまれて生きなければならない。

大陸中国の支配者たちは伝統的に台湾の開発を軽視して来たため、台湾は、日清戦争後に中国(清朝)から日本に引き渡された当時は、人口の少ない「過疎の島」だった。その島を日本はまじめに開発し、当時本土の四国にもなかった帝国大学(帝大、京大などと同格の国立総合大学・台北帝大)を台湾に創るなど、手厚い公共投資をし、大勢の人口が暮らせる島に育て上げた。この間「中国4000年の文明」なるものはこの島ではほとんど役に立っていない。

しかし、第二次大戦で日本が敗れ、米国などの戦勝国に海外領土の放棄を呑まされ、さらに大陸中国で中国国民党が中国共産党に敗れて追い出されると、国民党は軍を率いて台湾に逃げ込み、台湾を占領して勝手に「中華民国政府」を名乗り、台湾全土に戒厳令を敷いて、事実上一党独裁の軍事政権を打ち立てた。

【このとき外から来た侵略者(とその子孫)を外省人、侵略された側(本来の台湾住民)を本省人という。外省人は、台湾総人口の2割以下の少数派にすぎないが、政治権力を濫用して経済やマスコミを支配し、以後半世紀、不当に多数派の本省人を抑圧してきた。】

*---**---**---**---**---**---**---**---**---**---**---**---**---**---*

       日本でいちばんむずかしい?コンピュータの資格試験
                 ↓
       http://www.akashic-record.com/oddmen/cntnt.html

*---**---**---**---**---**---**---**---**---**---**---**---**---**---*
【桶狭間の奇襲戦】 < http://www.akashic-record.com/oddmen/okehaz.html >

●台湾独立の始原●
この「中華民国」は西側世界にとっては中国やソ連の膨張に備える「反共防波堤」として役に立ったが、ソ連の崩壊によりその価値が下がり、逆に、中国の市場経済の進展により西側にとっての中国の価値が高まると、台湾は(西側に見捨てられることを恐れて?)民主化へと動き出す。独裁中国に対する「民主防波堤」として自身を世界に売り出したのである。これが、90年代に国民党員ながら本省人の総統(大統領)、李登輝が始めた、総統直接選挙や複数政党制による政権交代可能な議会制民主主義への移行、外省人の特権を否定する「台湾化」政策だった。

この政策により96年には李登輝、00年には民主党員の陳水扁と相次いで本省人の総統が直接選挙で選ばれ、国民党から民進党への政権交代も実現した。これを見た米国議会では、圧倒的多数の国会議員が民主化した台湾を中国が侵攻することは許さないと何度も決議し表明して来たし、96年の総統選前に本省人を脅すべく中国が台湾島越えにミサイル発射演習を行った際は、米国政府は台湾近海に空母を派遣して台湾を守る決意を示した。

*---**---**---**---**---**---**---**---**---**---**---**---**---**---*

      2008年北京五輪、開催不可能!
               ↓
   http://www.akashic-record.com/dragon/cntnt.html

*---**---**---**---**---**---**---**---**---**---**---**---**---**---*
宅配(本体\2500+α)でご注文 → < http://www.kinokuniya.co.jp/04f/d01/sinjyuku.htm >

●もろい民主主義●
しかし、半世紀にわたって台湾を独裁支配して来た外省人と(李登輝以外の)国民党の力は強く、大企業やマスコミは依然としてその影響下にあり、国民党は選挙では利権やマスコミの偏向報道を使って実力以上に得票することが可能だ。このため、外省人は台湾人口の2割にも満たないのに、04年の総統選では、陳水扁現総統の対立候補、連戦・国民党主席が世論調査で陳水扁とほぼ互角の支持率を得るという異常な選挙情勢になっている。

台湾は中国の一部になる歴史上の理由がないので、本省人の多数派は本来民進党の「台湾独立路線」を支持している。他方、数で劣る国民党らの外省人勢力は「独立」されると自分たちの特権や利権がなくなるので「独立すると中国に武力侵攻されるし、そうでなくとも中台の経済関係にマイナス」と宣伝し、「中国の尻馬に乗る」形で政権奪回をねらっている。

となると、もし04年3月の総統選に国民党(外省人)が勝ってしまうと、その4年後の次期総統選が民主的に公正に行われる可能性はほとんどない(産経新聞04年1月23日付朝刊17面、岡崎久彦・元駐タイ大使「正論」 < http://holycow.sandiego.edu:8080/isota/forums/global_j/1075440592/index_html > )。政権を奪還した外省人勢力は警察や諜報機関をフルに活用して民進党を弾圧するだろう。

*---**---**---**---**---**---**---**---**---**---**---**---**---**---*
チベット人ペマ・ギャルポ氏が顧問を勤める政治研究所

 http://www.g-i-i.net/gii.magagzine-stand.htm
*---**---**---**---**---**---**---**---**---**---**---**---**---**---*

●反撃としての住民投票●
そこで、陳水扁は03年11月、04年の総統選と同時に「台湾海峡に配備された中国のミサイルに対して防衛態勢を強化すべきか」の賛否を問う住民投票(公投)を行うことを決めた。(中国と違って)民主的な投票のできる国、台湾の国民意識をめざめさせ外省人系マスコミの世論操作を打破しようと考えたのだ。

当然、中国はこの住民投票には反対だ。いったん直接的な意思表示を経験した台湾住民は、やがて国名を「中華民国」から「台湾共和国」に変える住民投票もすべきと考える可能性が高く、それは台湾を併呑して西太平洋の海上覇権を手に入れたい中国の軍事的野心に打ち砕くことになりかねない。

そこで中国は、03年12月の温家宝首相訪米時に、ブッシュ米大統領から「住民投票を支持しない」との発言を引き出し、それによって陳水扁の支持率を引き下げることに成功した。さらに04年1月には、日本政府にも外圧をかけて、住民投票への懸念を表明させることに成功した(岡崎前掲記事)。

【この外圧は(小誌記事「女子十二楽坊 vs. 台湾独立」 < http://www.akashic-record.com/y2004/be.html > でも述べたとおり)日本が(米国抜きで)単独で台湾独立を支持しても、十分に外交的影響力があることを意味している。中国は台湾問題では日本を、単なる対米追従一辺倒の国とは見ていないのだ。】

米国は民主主義国家であり、前回 < http://www.akashic-record.com/y2004/oscar.html > 述べたとおり、台湾の地政学上の価値は中国より高いから、本来は、台湾が行う民主的な住民投票を支持するはずである(しかも「中国のミサイルに対して防衛態勢を強化すべきか」という問いは「米国防総省の推進するミサイル防衛(MD)構想に参加すべきか」というのと事実上同じで、実現すれば、米国は世界で初めて民主的な直接投票を根拠に外国にMDを配備することが可能になるから、すくなくとも米国防総省は内心喜んでいるはずだ)。

米国会議員の大半も住民投票支持のはずで(産経新聞04年2月28日付朝刊11面)、04年2月18日には、米政府高官が「住民投票を条件付きで容認」する発言をしたから(共同通信Web版04年2月19日)どうせ、3月20日の投票日直前になれば米国政府は、はっきり陳水扁再選を支持する言動をとるだろう、と筆者は思っていた。

*---**---**---**---**---**---**---**---**---**---**---**---**---**---*

           第2のSARSが牙をむく
                ↓
   http://www.akashic-record.com/genome/cntnt.html

*---**---**---**---**---**---**---**---**---**---**---**---**---**---*
宅配でご予約 → < http://www.kinokuniya.co.jp/04f/d01/sinjyuku.htm >

●米国の生命線・米国債●
が、どうもそうなりそうにない。その理由は、中国が貿易などの経済的利益をエサに米国と取り引きしたなどという単純なもの(産経前掲記事)ではない。なさけない話だが、米国財政を中国が支えている、という深刻な問題があるのだ。

ブッシュ現米政権は、大型減税による歳入減と反テロ戦争による歳出増で巨額の財政赤字(03年度は過去最大の3753億米ドル)を抱えながら、減税による内需拡大効果で好景気を維持している。今年04年は米大統領選の年なので、再選をねらうブッシュ政権は増税による財政再建はできない。が、内需が拡大しすぎて米国民は貯蓄以上に消費し、このため世界中から大量のモノを輸入しているため経常収支(貿易収支などで構成)も大幅赤字だ。

この「双子の赤字」を警戒して、諸外国から米国への資金流入が減少する中、米国経済がかろうじて資金不足に陥らずに済んでいるのは、日台中印など、外貨準備の豊富なアジア諸国の通貨当局が為替介入目的で購入した大量の米国債だ(産経新聞04年2月28日付朝刊12面「米『双子の赤字』懸念拡大」)。

もし中国が「市場で米国債を大量に売る」と決断すれば、米国債は暴落(利回りは上昇)し、それは米ドルの暴落や長期金利の上昇、景気の失速を招き、ブッシュの再選は吹き飛ぶ。したがって中国はいま米国を「台湾独立派を支持したら米国債を売るぞ」と脅しているはずだ(同じ脅しは台湾も可能だが、中台どちらか一方が「売る」と言うだけで相場は動くので、米国は中台間で中立を保つしかない)。

【これは日本にとってもひとごとでない。現在、日本の財政を支える赤字国債は大手都市銀行が買い支えているが、銀行が経営再建の課程でこれを大量に市場で売却し、それを中国政府が買い占めたらどうなるか? (産経新聞03年12月25日付朝刊5面「『国債安保』考える段階に」)】

となると、米国政府が陳水扁や台湾独立派を支援するためにできることは、もう何もないだろう。

●独立に必要な国家承認●
かつてチベットは実質的には独立国であったが、どの国からも外交上国家として承認されていなかったため、中国(中華人民共和国)に侵略された際も、国際社会はこれを非難せず、結局、中国の侵略支配は既成事実化してしまった。

だから、台湾独立派はノドから手が出るほど、諸外国からの国家承認がほしい。他方、中国は世界の諸外国に中国との経済取引をエサに圧力をかけて台湾への国家承認を撤回させ、中国との国交樹立を働きかけて来た。このため現在、台湾を承認しているのは、中米やアフリカの極小国数十か国にすぎない。

溺れる者は藁をもつかむ。たとえ北朝鮮のような野蛮国からのでもいいから国家承認がほしい、という切実な思いがあるため、台湾は外交上北朝鮮を非難したことはなく、むしろ自国の核廃棄物を北朝鮮に引き取らせるなどの形で、北朝鮮との外交関係を模索しているほどだ(朝鮮日報Web版01年2月18日 < http://japanese.chosun.com/site/data/html_dir/2001/02/18/20010218000028.html > )。

しかし、考えてみてほしい。北朝鮮はテロや拉致、違法な核兵器開発により世界中から非難され、経済も破綻し国民大多数が飢餓にあえぐ極貧国で、いつ体制崩壊するかわからない。こんな国の支持を得ても役に立つだろうか?

●拉致被害者家族を台湾が「買う」●
そこで、筆者から台湾独立派に(予言ではなく)提言をしたい、

「北朝鮮を捨て、日本を取れ」と。

北朝鮮は多数の日本人を拉致し、拉致被害者やその家族を日本に帰そうとしない。北朝鮮は破綻した経済を立て直すため、被害者や家族の帰国の見返りに経済援助がほしいが、拉致はテロであり、テロ国家やテロリストに利益を与えることは(「テロは儲かる」と思わせ)新たなテロを誘発する恐れがあるので、日本に限らずどの国家もできない。

が、幸いに現在、台湾は世界の主要国から国家と認められていないので、台湾がテロ国家などと取り引きしても外交上失うものは何もない。だから、たとえば台湾が(日本国民の気持ちを察して)北朝鮮に経済援助(たとえば拉致被害者1人あたり1億円の「身代金」)を与え、被害者やその家族を台湾に「観光」の名目で招待してはどうだろうか。

この形だと、テロ被害国・日本はテロ国家・北朝鮮に1円も払わないので外交的非難は一切受けないし、もちろん主要国と外交関係のない台湾も外交上非難されない。

そのうえ、台湾政府が「観光目的」で訪台した日本人拉致被害者を日本に出国させれば、日本の世論は台湾に対して感謝感激するし、何より、日本の外交当局がこの問題で台湾を公式の交渉相手と認知することの意義が極めて大きい。

当然、中国政府と台湾の国民党は反対するだろうが、これは人道問題なので、04年2月の北朝鮮をめぐる6か国協議でも日本人拉致問題でなんの発言もしなかった中国には、日本を非難する資格はない。何より日本の世論が中国の「非人道的な介入」を許さない。だから、中国がこれを阻止したいなら、事前に北朝鮮に圧力をかけるしかない。

そうした妨害が予想されてもなお、台湾独立派はこの問題を独立に利用することができる。
04年3月20日の総統選の投票前に、陳水扁総統が「北朝鮮にいる日本人の拉致被害者家族を台湾に移送してくれたら、北朝鮮政府に謝礼を払う」と表明すればよいのだ。

発言はただちに日本に伝わり、日本政府は、福田官房長官の定例記者会見でコメントを求められる。
もし「日本政府は中台問題に関与したくないので、発言は差し控える」とコメントすれば、即座に拉致被害者の「家族会」や野党から「拉致問題をいまだに解決できない政府が何を言うか!」と非難され、04年7月の参院選で与党自民党は負ける可能性がある。

結局、日本政府は「(台湾の好意に感謝しつつ)検討する」と言わざるをえまい。
その間、中国は(問題が表面化してしまったあとは)「人道上」日本と台湾に「交渉するな」とは言えない(北朝鮮が台湾との交渉に乗らないように背後からひそかに圧力をかけるしかない)。
となると、台湾側は(中国から日本が)「交渉するな」と言われないことを根拠に、「これは、将来、日本が台湾を国家承認しても、台湾が中国から侵攻されないことの証しだ」と宣伝できる。

じっさい、軍事技術の未整備により今後数年間は、中国は台湾を侵攻することも海上封鎖することもできない。だから、台湾独立派は何もこわがる必要はない。いまのうちに独立宣言して「独立の既成事実化」をしてしまえばいいし、そのために、たとえ見通しが立たなくても「台湾が日本人拉致問題をカネで解決する」と言えばいいのだ。

これは台湾(独立派)が日本にかける「外圧」なのだ。
台湾の経済力を考えれば「身代金」の数十億円は大した負担ではないし、また現在も将来も、買えるなら日米の国債もどんどん買ったほうがいい。

台湾が国際社会から、とくに日本から国家承認を引き出すには、まさに「対話と圧力」が必要なのだ。
(敬称略)

追伸1:
本誌へのご意見、投書は、投稿者氏名等の個人情報を伏せたうえで、本誌上で紹介させて頂くことがございます。あらかじめご了承下さいませ。
本メールマガジンは筆者(佐々木敏)のサポートスタッフにより運営されており、本号は創刊第146号です。
ご登録やバックナンバー、内容紹介は、こちら↓をご利用ください。
          http://www.akashic-record.com/
本メールマガジンの送信を停止するには、こちら↓をご利用ください。
          http://www.akashic-record.com/admin/regist.html
送信先アドレスを変更する場合もこちら↑でできます。お手数ですが、旧アドレスの「退会」、新アドレスの「登録」という2つの操作をお願い致します。
追伸2:
本メールにご意見等を投書されたい方は本メールに返信する形で投書を下されば、スタッフ(編集部)によるセキュリティ等のチェックを経て、数日後に筆者に転送されます。
但し、melma.comのシステム上、誠に申し訳ございませんが、本メールに返信されても「退会」手続きは成立しません。

Copyright (C) 2001-2004 by Satoshi Sasaki
All rights reserved. 不許複製、禁無断転載

| | Comments (2) | TrackBack (0)